雪のつもった森で、
「うんちがでる~」と。
大急ぎでスコップで穴を掘る。
雪をかきわけ、ようやく見えた黒い土。かたい土を掘り進め、やっと程よい穴があいた。
すると、横で準備をしていた子が「カエル~!」と一言。
なんと、冬眠中のカエルを掘り起こしてしまった。
数人の子が集まってきて、
かがみこみ、じーっとカエルを見つめる。
「かわいい・・・」
ピクリともしないカエルをしばらく見つめていると、
ゆっくり動き出す。
「おきたよ・・・」
思いもかげず、出会ったカエルを言葉少なに見つめる子どもたち。
ただただ、見つめている。
顔がつきそうなぐらい近づいて
見つめる。
突然起こされたカエルはゆっくりゆっくり後ろ足を動かし、土を蹴り、潜ろうとしている。
「かえろうとしてるよ・・・」
「元に戻そうね」
そっと穴に戻すが、カエルがあおむけになる。
「おにのぱんつみたいだね!」
カエルのおなかの模様がおにのパンツの柄にみえた。
じっと、見る。静かな時間。一人一人の世界に何が広がっただろうか。
カエルさん、びっくりさせてごめんね。また、目が覚めたら会えるといいね。
Fuji こどもの家 バンビーノの森
佐藤 広子